― 属人化の正体は「Excel」ではなく「受注情報の分断」にある ―
FAX・メールの注文書を、人が確認し、Excelに転記し、製造指示書を作る。
この流れで受注業務を回している中小製造業は、今も少なくありません。
最初は問題なく回ります。
しかしあるタイミングで、必ずこうなります。
「製造指示が追いつかない」
「この注文、誰が判断した?」
「確認待ちで現場が止まる」
この記事では、なぜ製造指示書をExcelで作っている会社ほど受注で詰むのか、
その構造を現場目線で整理します。

製造指示書づくりで起きている、よくある運用
多くの現場では、次のような流れです。
- FAX・メール・PDFで注文書が届く
- 担当者が内容を確認し、Excel受注台帳に転記
- Excelをもとに製造指示書・加工指示書を作成
- 印刷または共有して現場へ展開
この運用自体は「慣れ」で回ります。
問題は、負荷が少し上がった瞬間に一気に破綻する点です。
受注で詰まり始める3つの引き金
1. 注文書の書式が増えたとき
取引先が増えると、
- 品名の書き方が違う
- 略語・枝番の意味が違う
- 納期表記がバラバラ
結果、「確認できる人しか処理できない」状態になります。
2. 短納期・月末が重なったとき
このタイミングで発生するのが、
- Excel転記待ち
- 製造指示書作成待ち
- 確認待ち
という見えない滞留です。
受注量は増えていないのに、現場だけが詰まります。
3. 担当者が休んだ・変わったとき
ここで初めて表に出るのが、属人化です。
- なぜこの加工条件なのか
- なぜこの順番なのか
Excelには結果しか残らず、判断理由が残らない。
属人化の正体は「Excel」ではない
よくある誤解があります。
- Excelが悪い
- システムを入れれば解決する
実際の原因はもっと単純です。
受注情報が、人の頭の中で補完されている
- この品名はこの加工
- この取引先は要注意
- この書き方は過去案件参照
これらが製造指示書に明示されないまま、
人の経験で処理されています。
Excelは、
その暗黙知を「見えないまま固定化」しているだけです。
時間を食っているのは「入力」ではなく「確認」
現場で一番時間を使っているのは、入力作業ではありません。
- 注文書とExcelの突き合わせ
- 過去案件探し
- 判断のすり合わせ
この時間は、
Excelを改善しても減りません。
うまくいく会社が最初にやっていること
いきなり、
- Excel廃止
- 全面DX
はしません。
最初にやるのは、受注情報を一度そろえることです。
- 注文書の内容を同じ形で見られる
- 誰が見ても同じ判断ができる
- 製造指示書作成を「判断」から「変換」に近づける
製造指示書は「作るもの」ではなく「生成されるもの」
受注情報が整理されれば、
- 品名
- 数量
- 納期
- 加工条件
をもとに、
製造指示書は自動的に形になります。
ここで初めて、
- 属人化が外れ
- 引き継ぎが楽になり
- 受注量が増えても耐えられる
状態になります。
Excelや紙は、今すぐ捨てなくていい
重要なので明確に書きます。
紙・Excel併用で問題ありません。
- 現場フローはほぼそのまま
- 裏側の手作業だけを置き換える
- 段階的に進める
この進め方が、現実的に成功します。
この話が当てはまる会社のチェック
- 注文書がFAX・メールで混在
- 製造指示書を作れる人が限られている
- 繁忙期に確認待ちが発生する
- 人を増やさないと回らない気がしている
1つでも当てはまれば、
受注〜製造指示の構造は見直しどきです。
明日からの最小ステップ
- 受注チャネル(FAX/メール)を書き出す
- まずAIに読ませたい注文書を1種類決める
- 過去の注文書を10〜20枚用意する
- » ドキュパカ!(サービス) で進め方を相談する
まとめ
- 製造指示書で詰まる原因は、受注情報の分断にある
- 紙・Excel混在を前提に、段階導入が現実解
- 受注の整流化が、属人化解消の近道
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https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000018.000120072.html
【導入事例】株式会社エムケー(大阪府門真市)が「ドキュパカ!受注AI」を導入 ― 受注・配車業務の属人化解消を支援
