受入検査表を紙で運用し続けることで、品質・引き継ぎ・再発防止が同時に壊れていく理由と、現場を止めずに改善する方法がわかる記事です。
受入検査表は「最後の砦」のはずだった
製造業や卸売業、商社の現場では、今も次のような光景が当たり前にあります。
- 納品物が届く
- 担当者が外観・数量・簡易測定を確認
- 紙の受入検査表に記入
- ファイルに綴じる、もしくは机の引き出しへ
業種が違っても、受入検査表は紙という会社は少なくありません。
本来、受入検査は
「この後の工程に進めてよいか」を判断する最後の砦です。
しかし、その検査記録が紙のままだと、思わぬ損失を生み続けます。

損失①:品質トラブルが止められない
紙の受入検査表で一番の問題は、過去が使えないことです。
- 前回はどこで引っかかったのか
- 同じ品番で注意点はなかったか
- いつから状態が変わってきたのか
こうした情報が、すぐに出てきません。
結果として、
- 「前も大丈夫だったから今回も大丈夫だろう」
- 「たぶん問題ない」
という勘に近い判断が増えていきます。
検査そのものはやっているのに、
品質トラブルが後工程で発覚する。
これは珍しい話ではありません。
損失②:引き継ぎが崩壊する(属人化)
受入検査が属人化する原因は、検査技術ではありません。
記録の残り方です。
紙の検査表には、たいてい次のような情報しか残りません。
- OK/NG
- 簡単なコメント
一方で、実際の判断材料はこうです。
- どこを重点的に見るか
- どの程度なら許容か
- 過去にトラブルがあったか
これらは、人の頭の中にあります。
そのため、
- ベテランが休むと判断が止まる
- 新人は「前回同様」で処理する
- 人によって検査結果が変わる
受入検査はあるのに、
誰が見ても同じ判断ができない状態になります。
損失③:再発防止ができない
トラブルが起きた後、必ずこう言われます。
「次は気をつけよう」
しかし、紙の検査表では、
- どのロットだったのか
- どんな兆候があったのか
- なぜ見逃したのか
が後から検証できません。
紙は「その場の確認」には使えますが、
振り返りと再発防止には弱い。
結果として、
- 同じミスが数か月後に再発
- また注意喚起
- また紙が増える
というループから抜け出せなくなります。
フォーマットを変える前に、やるべきこと
ここで多くの会社が、次の対策を考えます。
- 専用の品質管理システムを入れる
- 検査項目を増やす
- ルールを細かく決める
ですが、いきなりこれをやると失敗しがちです。
理由は簡単で、
現場の手間が一気に増えるからです。
受入検査で本当に最初にやるべきことは、
「探せる状態」を作ることです。
紙の受入検査表を“資産”に変える考え方
重要なのは、
書き方を変えないことです。
- いつも通り紙に書く
- いつも通り現場で確認する
その代わりに、
記録の使い方を変えます。
AI文書管理サービス『ドキュパカ!』を使うと、
- 紙の受入検査表をそのまま取り込み
- 顧客名・品番・日付で検索
- 過去の検査履歴をすぐ参照
- 写真やメモも一緒に保存
「ファイルを探す」「人に聞く」がなくなります。
検査の質を上げる前に、
判断材料が揃う環境を作る、という発想です。
現場を止めずに始める最小ステップ
大掛かりな改革は不要です。
- 今使っている受入検査表を集める
- 探すのに時間がかかる理由を書き出す
- まず10〜20枚だけデータ化する
- 過去の検査を「検索してみる」
これだけで、
「検査のやり直し」「聞き直し」が減り始めます。
まとめ
- 受入検査は、現場判断の起点
- 紙のままだと、品質・引き継ぎ・再発防止が壊れる
- 最初の改善は、探せる状態を作ること
受入検査表は、
書類ではなく会社の判断資産です。
まずは紙を捨てるのではなく、
紙を活かすところから始めてみてください。
